これは
月光
――Judith Gautier――
満月は水より出で、
海は銀 の板となりぬ。
小舟には、人々盞 を干し、
月明りの雲、かそけきを見る。
山の上に漂 ふ雲。
人々あるひは云ふ、――
皇帝の白衣の后 と、
あるひは云ふ、――
天 翔 る鵠 のむれと。
海は
小舟には、人々
月明りの雲、かそけきを見る。
山の上に
人々あるひは云ふ、――
皇帝の白衣の
あるひは云ふ、――
――同上――
人工の湖 のなか
緑と青と、陶器 の亭 一つ。
かよひぢは碧玉 の橋なり。
橋の反 り、虎の背に似つ。
亭中に、綵衣 の人ら。
涼しき酒、盃 に干し。
物語り又は詩つくる、
高々と袖かかげつつ、
のけ様 に帽頂 きつつ。
水のなか、
明かにうつれる橋は
碧玉の三日の月めき、
綵衣 の人ら
逆様 に酒のめる見ゆ、
陶器の亭のもなかに。
緑と青と、
かよひぢは
橋の
亭中に、
涼しき酒、
物語り又は詩つくる、
高々と袖かかげつつ、
のけ
水のなか、
明かにうつれる橋は
碧玉の三日の月めき、
陶器の亭のもなかに。
夕明り
――Eunice Tietjens――
乾いた秋の木の葉の上に、雨がぱらぱら落ちるやうだ。美しい狐の娘さんたちが、小さな足音をさせて行くのは。
――同上――
彼は緑の絹の服を着ながら、さもえらさうに歩いてゐる。彼の二枚の上着には、毛皮の縁がとつてある。彼の

彼の爪は非常に長い。
朱君は全然流行の鏡とも云ふべき姿である!
その
朱君は
作詩術
――同上――
二人の宮人は彼の前に、
(大正十一年一月)