悒鬱な花
森川義信
はながさいてゐる
目をつむつてぼくは見てゐる
はなびらは
色
(
いろ
)
をうしなひ
あを白くうなだれて……
はななれば はなのやうに
なぜ笑はないのだらう
はながさいてゐる
目をそつとつむると
いつでも黙つてさいてゐる
背中をむけて 向ふを向いて
悒鬱な花よ 匂ひのない――
花ならば 花のやうに……
底本:「増補 森川義信詩集」国文社
1991(平成3)年1月10日初版発行
入力:坂本真一
校正:フクポー
2017年9月24日作成
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