くらがり
なすによしなき哀れさよ、
早や日数経て、
水や空なる波の上に、
淋しくかゝる
やがて消ゆべき
その希望もて吾が道は、
螺線の中のゆきもどり。
物の幾度
灰色なせる涙もて、
悲哀の文字を印せしも、
暗き深みのみなぞこの、
声も言葉もかよわねば、
昨日も今日も、かくて暮れゆく。
暮の鐘
灰色の雲かさなりて、
しく/\と泣きいる風は、
黄ばみたる木立はらひぬ。
冷やかな自然よ君と、
今日も又、かくて暮れゆく、
哀音の鐘の響きは、
痛みたる君が胸より、
うなだるる眼ひらきて
黄昏の空を仰げば
奥津城の岩のほとりの、
小山なす
胸もどき声をきゝしる。